鼻へのキスは…


 

 

「ほんっと、坊っちゃんはかわいいなあ」

「わっ……ちょっ、もうそれやめてよ!」

「え? なにが?」

「その、僕の鼻にあんたの鼻こすりつけてくるやつ! 顔近いし、気持ちわるいよ!」

「そうですか?」

「そう……だから鼻こすりつけてくるなってば!」

「寂しいこと言わないでよ坊っちゃ~ん。突然どうしたのさ」

「突然っていうか、そりゃまだ子どもだった頃ならよかったかもしれないけど! 僕もう16歳だよ? 大の男二人でこんなことしてるのおかしいだろ!」

「いやいや、だから前にも話した通り、シオウルでは普通なんですってば」

「とか言って、ユーイがショーグンとおんなじことしてるところなんて見たことないぞ!」

「そりゃそうだよ。成人男性同士ではやらないもん」

「やらないんじゃん!!」

「もともと大人が子どもを可愛がる仕草だからね。成人にやったら侮辱になるよ」

「……。ちなみに、こっちの成人って何歳なの」

「坊っちゃんの世界では?」

「20歳だけど……」

「じゃあ20歳で」

「じゃあってなんだよ、じゃあって!」

「だってほんとのこと教えちゃったら坊っちゃん、もうやらせてくれないでしょ」

「てことはやっぱり20歳じゃないんだな!」

「うーん、まあ、少なくともシオウルでは、14歳だね」

「14っ!? そ、そんなんでもう大人なの?!」

「14なんて充分大人だよ。……でも、坊っちゃんの世界では20歳が成人なんですよね? ならまだ坊っちゃんは未成年ってことだ。仕方ない!」

「うわああだからやめろってばあ!」

「あはは、ほんっと坊っちゃんはかわいいなあ!」

 

 

 

 

20150423

(20200630再掲)

 

 

※仲間たちの中では、トーヤはいつまでも11歳の頃のトーヤなのでした。